歯科技工士の現状について
以前の体験入学の際に質問として挙がった、「歯科技工士はブラックな職業なのか?」という質問について、このブログの場を借りてお答えしたいと思います
まず大前提に、歯科技工士の仕事は「歯を製作しただけ報酬が出る」という条件があります
つまり、歯科技工士でお金を稼ぐには、装置を正確かつ素早く製作する技術と、適当な報酬を受け取ることが必要になります…
前者についてはどの業界にいても当たり前に言われることだと思いますが、後者に関しては少し分かりづらいかもしれませんので、もう少し詳しく説明します
日本には医療保険制度があり、諸外国に比べると安い値段で治療を受けることができます
しかし、歯科技工士にとって保険で作る装置はある程度の制約の中で製作するため、1つの装置にあまり長い時間がかけられません
そして装置を作る以上価格競争は避けられず、徐々に定価を低くせざるを得ないような現象も起きてきます
つまり歯科技工士の腕ひとつで仕事の正確さやスピード、そして報酬が変わってくるということです
適当な報酬とは、「作業内容に見合った賃金の支払い」なのです、ここがきちんと守られているかどうかがポイントになります
ここまで聞くと何となくブラックに見えますが、ネット上にある歯科技工士の記事を見ると、もっとブラックに見えてくると思います
しかし、そもそもの記事自体が古かったり、確証が得られる証拠がなかったり、匿名性であるがゆえに信憑性に欠けていたりと、真意を見極めづらい部分もあります
最近ではCAD/CAM技工が急速に発展し、この技術の進歩によって装置をより正確かつ素早く製作することが容易になったため、「誰にも再現できない技術」から「誰でも再現できる技術」へと変化しています
そして今まで技術を研鑚した歯科技工士は、模範として更に活躍できると考えます
専門学校卒業後に貰える「専門士」の称号は大学編入学時に活用できたり、今後の自身のステップアップにも繋がります
特に歯科技工士科は2年制であるため、他の専門職と比較すると1年早く称号を獲得できるメリットもあります
各都道府県から多彩な求人があり、希望次第では国内だけではなく、海外への就職も十分可能です
この状況を考えると、歯科技工士が一概にブラックであるとはとても思えません
しかし、全部がホワイトである訳ではないので、与えられた状況から目的を持って行動することが大切だと思います
このブログが歯科技工士への道を考えている方々への参考になれば幸いです
今年度の体験入学は終了してしまいましたが、イブニングオープンスクールや学校見学なども行っています、お気軽にご参加ください
歯科技工士科専任教員 さわお